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2019年7月22日月曜日

スローターハウス5を読み直している

ツイッターで好きな小説をいくつか上げたときにふと忘れていたスローターハウス5をkindleで買い直して読んでいた。ヴォネガットの本はどれも、その物語の厳しさみたいなものに反して、ぱっと読んでしまう軽やかさを持っている。
そのスタイルの差っていうのは年代なんかにもよるのかもしれないけど、ディックなんかがものすごくきっちりと物語の中の時間に寄り添って逃げ道のない重厚な語り口であるのに対して、ヴォネガットはあの気のいいヒゲのおじさんがホラなのかなんなのか分からない調子で話しているような気がする。スローターハウス5では小説としてはちょっとびっくりするくらい長い前書き(というよりプロローグみたいなもんだけど)が入ってくるので、よりそんな感じがする。
本というものがあまり読まれなくなった現代においては、ヴォネガットみたいな軽さのほうがより受け入れられるかもしれない。

話自体は、とても好きな作品であるけど、これがなんなのか述べることはむずかしい。我々は時間をひとつの方向に過ぎていくものだと捉えているけど、本当はそうでもないのかもしれない。私は生まれてきて良かったと思うようなあの素晴らしい瞬間の中にいるし、また、生きているのが全く嫌になってしまうようなあの最悪の瞬間の中で立ちすくんでいるのかもしれない。そういう話だ。
これはタイタンの妖女のラムフォードがまさにそう言うことを語っている。



スローターハウス5
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