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2016年1月30日土曜日

The Beginner's Guide感想

The Beginner's Guideをプレイした。
The Stanley Parableのクリエイターが作った作品で、あちらよりは遥かに短くあっさりとしていて、90分ほどで終わるし、より作家性の強いものでもある。わお、そんなものが出てたのか、じゃあやらなくっちゃ、という人はプレイしてくると良い。このあとに内容について触れるので。


この作品をそのまま受け取ればフレネミー(友達のように見える敵)の話だろう。語り手はCodaのことを勝手に解釈して、あいつは病気だと触れ回って、あまつさえ勝手に作品を改変して、それを人にやらせることで才能ある病んだ友人のことを心配する自分であろうとし、自分にない創作する力というものを友人にやらせて成果物だけを己の手柄として扱っている。Codaが悩んでいるのは創作についてのことではなくてお前が居るせいだと最後にははっきり言明されている。

そもそもゲームというのは作者が誰かにやらせるものであり、その中での体験というのは、作者が誰かに体験させようとしていることであって、作者が欲していることであるというような解釈がそもそも的はずれなのだと思う。

そのラインで考えると、わざわざCodaがやってくれと言ってきて、しかも最初にやらされたはずの版では永久ループになっていたあの掃除のゲームに深い意味があるのだという気がするが、これについては私はあまりピンと来ていない。この時点では別に語り手はまだCodaのゲームを改変して人にやらせたりまではしていないはずだし、なぜそんなもんをやらせてニヤニヤしてんだろうか。案外Codaは深い意味とか考えるよりはもっと単純に「ループしてるゲーム延々やっとるー!」くらいのお茶目な人だってことなのだろうか。

それから語り手がつけたのが街灯だけなのかということも気になる。私はなんとなく、街灯があるところ以降はすべて勝手に作ったのではないかと思ったりする。



もうちょっとまともに解釈的な話で言うと、Codaというのは作者自身のことであり、語り手は世間の声であって、芸術家である自分に対して踏み込んで来ようとすることへの拒否反応のようなものであるというようなことだ。ごく単純に面白さのために作ったものをやたらと深読みしたり、意味はなんだと問いかけたりし、自分の精神状態がゲームに反映されているだのと言いやがる。芸術ってのはそんなこっちゃないのだ。ただ作っているだけなのだ。黙れ。黙ってお前も作ってみろ。そんなところではないだろうか。

最後のステージは文脈からするとCodaが作ったものであるわけはなくて、語り手の心理の反映であり、そこで語り手が言う「いろいろやらなきゃいけないことがある」というようなことは、物を作り出したということだ。語り手は(この記事がまさに書いているように)批評的なことばかり言うのをやめて、創作を始めて、広大な迷路の中へと踏み込んでいく。奇しくも、Codaの最初の作品のように、天に浮かび上がり、足元のはるかな迷宮と、果てしない空の下でゲームは終わる。
これは創作者のための、The Beginner's Guideなのだ、と。

まあそういうこと書くと、村上春樹の文学評で呼んだ覚えのあるフレーズで表現すると、「ちょっとその見立てはイージーだと思うな」という感じかなという気もする。(たしかこれは作中の木が父性の象徴である的な評論についてのコメントで特にゲームの話は関係ない)。

もうちょっと踏み込めば、実際には作品というのは往々にして、それほど単純にはっきり比喩として表現しきれるものでもない。というか、それこそがこの作品のひとつのテーマであるとも言える。人の精神がそうであるように、作品は微妙に矛盾するような複雑な面を持ちえるし、他者への言及は同時に自己への言及にもなりうる。

実際のところ、最後の部分でちょろっと書かれているだけだけど、(Codaなんて人物が実際にはもともと居なかったとしても)最初のCodaの作品には街灯はなかったのだし、もっと意味は薄くごく単純で純粋なものだったのだろう。そこに街灯を立てたのは語り手であり、そのような明確な意味というのは、語り手が付け足していくようなものなのだという意味にもとれる。

もっとも、Codaは自己であり、語り手は他者であるというのは前述のとおりやや単純すぎる考え方で、実際のところCodaと語り手はひとつの人格としてあっても不思議ではないと思える。賞賛を得たいというのは誰でも持っていて不思議ではない気持ちだし、何かを作っているときに、ふと、これって自分が作りたいわけじゃなくて人が褒めてくれるからやっているだけだよな、なんてことを思ってイヤになることもある。昔はもっと純粋にものを作ることを楽しめたのに今はそうじゃないという風に考えることだってあることだ。芸術家としての純粋さみたいなものと、評価を得たいという気持ちはそんなに遠い考えではないのだろう。



ちなみにこのトレイラーもその仕込みの一つに入れてあるのだろうなと考えられて楽しい。ここで起動されてるバコバコ跳ね返される柱のステージには、実際のゲームにはあった仲良くなりたい有名な人みたいなものは存在していない。それからゲーム内に無かったフレネミーっぽいステージなんかがあって、適当に見てる限りENEMYの人が「GIVE US ANSWERS」とか「ARE YOU OKAY?」とかゲーム内の語り手が言いそうなことを発言してたりする。また途中のエクスプローラには2011年の6月以降のゲームもあるし、それは明確にCodaはその後も作り続けていて、語り手と絶縁しただけであるという風にも見える。

単なる想像だけで書けば、このトレイラーで見えているのは実際に昔このゲームの製作者が作っていたオリジナルバージョンであって、四角い頭の奴らと街灯を立てて、自分の試作に意味をあとづけてして、ひとつの作品に仕上げたのかもしれない。
だとすると、それはすげーイカすやり方だなと思ったりする。




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イージーすぎるぜ。

2016年1月17日日曜日

Amazonプライムビデオのタンブルリーフがおもしろい

Amazonプライムビデオのオリジナルコンテンツが良い。
私は内村プロデュースからの流れでずっと見ていた内村さまぁ~ずがバックナンバー(Secondが始まってからだけど)まで含めて全部見られるのがかなり嬉しい。ただこれはオリジナルっていうよりは、前々からあったものをAmazonが引き受けた感じなので、厳密にはオリジナルとは違うのかもしれない。
なにがいいかっていうと、オリジナルの子供向け番組が良い出来なのだ。
子どもがすごいヘビーローテーションで見てる。

子供向け番組はいくつかあるのだけど、子どもが一番好きなのがタンブルリーフだ。これがすごいきれいなクレイアニメで、キャラクターの出来の良さや、毎回違う模型の舞台の出来がとにかく素晴らしくって見ているだけで楽しい。

話としてはキツネのフィグが毎回何かの道具(どこかから流れ着いて人間の道具)を手に入れてそれで問題を解決するという形になっている。ものを考える、というのが教育的なテーマのようで、フィグは毎回「ちょっと考えさせて」と言って、たとえばテコの使い方なんかを思いついて重いものを持ち上げたりするのだけど、教育的な成分よりはお話や絵的な面白さが重視されていて、本当に楽しい。

私のお気に入りはフィグの友達のメープル(クマ)で、裏返すとロシア風の毛帽子に変わる不思議な帽子をかぶっていてかわいい。






最近シーズン2も始まったのでプライムに入っている人は是非見ると良いと思う。

2016年1月11日月曜日

¥5,000切るFireタブレット買ってみたけど予想外に便利

¥4,980なら使い物にならなくたって、デジタルフォトフレームにしたかてええわい、と思ってKindle Fireタブレットの8GBを買った。解像度は低いし、プロセッサやメモリだって大したことはないので何も期待しておらず、ただAmazonプライムで月一で読める本をカラーで読める専用端末くらいの気持ちだったのだけど、これがどっこいなかなか悪くない。むしろ結構いい。いいもの買ったという印象である。

前提として先に書いたとおり、もちろんパワーはないし、そもそもAndroidをカスタムしたOSなので普通に使っていたらGoogle Playすら使えない。カスタムのアプリとかで入れられるそうだが、そんなことやりたいなら他にもタブレットは持っているので、入れていない。なので、アプリはAmazonのストアで配信されているものだけで、Google Playに比べればしょぼいもんである。
音ゲー(Cytus)をやってみてさくさく動いてはいるが、まあそういう用途を期待して買うと期待はずれかもしれない。

これの何が良いかっていうと、とにかく単純にAmazonのサービスのために最適化されているので、それが使いやすいということに尽きる。ランチャー画面は最初から、Kindleの本・ビデオ・買い物・ミュージックなんかに直接移動できるようになっている。また各サービスの動作が軽いのも嬉しい。ビデオなんかFire TV stickでテレビを操作するより早い。どういう仕組なのかわからないが、クリックした瞬間にすぐさま動画が始まる。Youtubeと勝負しても勝ってるのではないかという速度だ。

また前にFire TV stickの記事にできないのが残念な点として書いたが、手元の使いやすい環境で動画を探して、それをテレビに映しつつ、更に他の動画を探すというようなことができる。
というのも、FireタブレットはFire TV stickに動画を映すことができるのだ。これはAndroidとChromecastの関係と似ている。ただ、こちらは用途が限定されていて、その分安定動作する印象だ。Chromecastだと、一度アプリを閉じて再接続しようとすると上手く動かなかったり、再生位置を取得できなかったりということは頻繁にあるが、Fireタブレットだと動画の再生中はつねに接続されていて通知バーから動画のコントローラーにいつでも戻ることができる。待たされることもない。

そんなわけで、プライム会員でFire TV stickを使っているなら、高機能なFire TV stickのコントローラーとしてこれを買うという選択肢は悪くないと思っている。なんせ¥4,980というのはそれくらいの値段だろう。しかもAndroidタブレットに似たようなことも結構できるし、割にさくさく動くし、内蔵スピーカーも安い中国製タブレットなんかに比べれば全然良い品だ。

高級なAndroidタブレットみたいなものと比べれば当然不満がでる商品だろうとは思うが、その値段帯で買えるタブレットの中ではぶっちぎりに素晴らしい製品だと思うし、上述のとおりAndroidタブレットの真似事もできるFire TV stickのコントローラーだと思えば全く何の文句もない製品だと思う。プライムに入ってるくらいのヘビーユーザーならおすすめ。



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この値段(クーポン利用時)ならいうこと無い。


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同上。

2016年1月10日日曜日

Live2D+FaceRigで初音ミクになってみる

わざわざ動画で30歳を超えた小太りのオタクのオッサンの面を見ていたいという人はさほど多くないだろう。ただ楽して動画に合わせたリアクションは欲しい。そんなわけで、自分の描いた絵を3Dモデルとして起こして、ウェブカメラで撮影した自分の表情に合わせて動かしてみる。そんな風に言うと複雑そうだけど、Live2DとFaceRigを使えば簡単にできる。
レイヤーに分けて絵を描くことができるなら、それ以外の作業はまとめて1時間もあればできる。



ちなみに完成品はこんな感じ。
オッサンの顔が見えないのでわかりにくいが、内側ではオッサンが初音ミクと同じような表情を作っている。



今回の全体図はこんな感じ。

Webカメラと3Dモデルを対応付けるのはFaceRigという\1,480で売っているソフトで行う。これはWebカメラさえつなげればカメラに映っている人の表情を読み取って、3Dモデルに反映してくれるというもの。もともとゲームの実況なんかのために作られたものなのでSteam上で売っている。シンプルなソフトなので悩むところはない。

今回はこのFaceRigで使う3Dモデルを作るのだけど、そのためにLive2Dという2Dの絵を簡単に3Dっぽく起こすソフトを使う。こっちはFaceRigに比べるとややこしいところもあるが、日本のメーカーが作ったものなので日本語のドキュメントや解説動画がある。ちなみにLive2D moduleというのがFaceRigでLive2Dのモデルを使うためのもので、FaceRigのDLCとしてSteam上で\398で売っている。買えば勝手に使えるので特に気にすることもない。

Live2D

Live2Dはもともと2Dの画像に、ゲームの立ち絵アニメーションみたいなちょっとした瞬きとか、口の動きみたいなものを簡単につけられるようにするソフトっぽい。一応個人ならFree版を利用することができる(機能制限はある)。

使い方については公式のチュートリアルが充実しているので以下など見ると良い。

http://sites.cybernoids.jp/cubism2/video/workshop

私の制作動画で行っていることとしてはPSD形式でレイヤーごとに絵を取り込んで、それにFaceRig用のテンプレートを適用してだいたいの動きを設定したあとで、横を向いた時のりんかくや、口の開き方など上手く動かない箇所を細かく直すという感じだ。

動きの調整については、口が閉じてる⇔口が開いている、右目が笑っている⇔右目が笑っていない、みたいに各表情や顔の向きごとにキーフレームが振ってあるので、そのキーの位置に対応する表情になるように3Dモデルの向きや、各頂点の位置を引っ張ったりするだけである。私は3Dモデルの作成の経験は殆どないが、それでも特に違和感なく作業をすすめることが出来た。

調節ができたら、mocファイルの書き出しを選んでモデルを書き出す。ファイルは複数ファイルが出力されるので、あたらしくフォルダを作成した方が良い。

FaceRigへの取り込み

FaceRigへの取り込みは、単純にモデルが格納されているフォルダを追加することで行う。
フォルダの配置場所はSteam上のFaceRigのプロパティ>ローカルファイル>ローカルファイルを閲覧から、Mod\VP\PC_Common\Objects以下に任意のフォルダ名で作成する。このフォルダ名は、さっき出力したファイルの名前と一致している必要がある(miku.mocで出力したならmikuというフォルダ名である必要がある)。

作ったフォルダ内にLive2Dで出力したファイル&フォルダを置けば取り敢えず動かすことはできる。このほか、ico_(フォルダ名).pngでサムネイルを作ったり、他のモデルの情報を見る限り、モデル名や概要の設定を書いたり、表情では出せない特殊動作のモーションを作ったりできるようだが詳しく調べていない。ともあれ、他のモデルのフォルダを設定方法なんかはたぶんわかると思う。

FaceRigからの出力

というわけでFaceRigで動作させることはできるようになった。
通常のゲーム実況などなら、ゲーム画面の右下なんかにそのままFaceRigの画面を置いておけばWebカメラ付きの実況みたいな感じになるだろう。その他の用途に使う場合は、録画をファイルとして出力するか(ただ形式がwebm限定なのでやや辛い)、ブロードキャストを選べばWDM形式のWebカメラとして動画を出力できるので、ほかのソフトを使って合成したり録画したりすればよい。

今回の私の動画の場合、動画の編集を終えたあとで、FaceRigを音声検知のリップシンクに変更して、編集後の動画を再生しつつ表情だけWebカメラから取り込み、その動画をブロードキャストしてAG-Webカメラレコーダーというソフトで録画している。FaceRigは背景をグリーンバックにできるので、それに設定して、編集時にクロマキー合成でキャラクターだけにしている。

というわけで、ざざっと説明したが、自分の書いた絵が自分の表情に合わせて動くというのは、なかなか面白い感じがするものなので、みんなもためしてみると楽しいと思う。




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使ってるWebカメラ。

2016年1月3日日曜日

あたらしい一眼を買おうかと思ったがやめた

EOS Kiss X7がずっとほしいと思っている。画質なんてさほどこだわらないので、X7のほかの一眼レフより一回り小さいというところがすごい良いなと思っている。一段小さくて軽いと、持ち歩く頻度とか、ぱっと出す取り回しとか全体的に向上しそうだし、ひいては自分の制作に影響を与えてくれるのでは!!! とか思っている。いつでも持ち歩いていろいろな素材を集めて、いろいろ編集とかできるかもしれない。

ただ動画なんてもう結構な期間作ってないし、道具を買えばどうにかなるとか思ってるそんな精神だからダメなんだバカ野朗が! と思ったので買うのをやめた。とりあえず糞なものでも本数作ることを重視して、今後30本動画を作ったら買うことにする。作らないなら多分不要なのだこれは……。




ほしいなぁ。