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2017年4月13日木曜日

物語がそこにある/映像研には手をだすな!

不動産の広告なんかを見るに、みんな新しい小奇麗な家が好きであるようだ。私はそうではない。私は、家にかつて誰か居たような感じとか、何かの意図をもって改築されたような、古い家が好きだ。今の家も、築不詳(1970年以前の記録消失のため)と書かれていた家だ。おそらく不動産屋からすると、この物件は安いボロ屋で、そのあとの小奇麗でやや家賃の高いところの引き立て役として見せたものだと推測している。
ただ、私は、変に奥まっていてたどり着けない(実際に出前や宅配便が迷って電話してくる)立地も、あきらかに最初は家の外にあった風呂便所の上に、無理矢理屋根を付けて作った二階や(そのせいですこし傾いてる)、壁に残った何か貼っていたのであろうセロハンテープのあとだとか、そこにかつて居た誰かを強く感じさせる佇まいを、ひと目見て気に入ってしまった。
▲階段。超急(子供は這って登る)
▲風呂。なぜかプレートつき。

やったあ、こういう家に住みたかったのだ。
私は迷うことなくこの家を契約して、それ以来数年ここに住んでいる。ちなみに住んでみるとボロさに嫌になるとかそういうこともなく、ずっと気に入っている。ここが好きだ。 

映像研には手を出すな! をAmazonでパラっと1ページ目だけ見て買おうと思ったのは、つまりそういうことだ。変わったダンジョンのような学校とか、誰かが間違いなく住んでいたであろう家の姿なんかには、物語の存在感がある。私が家を選んだのと同じような感覚で、学校を選んだという浅草氏に強い共感を覚えた。こんな人物の出て来る漫画が面白くないわけがないと思った。

はたして、映像研には手をだすな! は非常に良い漫画だった。世界は物語に満ちている。そこにも、ここにも。



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