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2014年8月17日日曜日

渋い男の物語だけど、主人公はセガールだ/Max Payne3

Max Payne3はマックス・ペインシリーズの最新作で、本作からGTAのロックスター・ゲームスが開発している。ジャンルはTPS。マックス・ペインというのは主人公の名前で妻と子を殺された不運な男の名である。
steamで安かったので前作を未プレイのまま3から始めたが面白かった。前作の話も、そういう過去を背負っているというくらいで出てくるが、直接的なつながりはないので3から始めても問題なさそうだ。

シューティング部が単純ながら奥深く作ってあり、ストーリーも大きな陰謀に翻弄されながら主人公が足掻くというのもので大変好みであった。フィリップ・K・ディックやレイモンド・チャンドラーでもそうだが、どうも私は人生の旬も過ぎた男が自分の失敗した人生を抱えつつも、苦しい現実と戦い続ける話が好きであるようだ。
己の人生もそのように捉えているからかもしれない。


そんなわけでMax Payne3は大変良いゲームである。TPSが好きだとか、重めのストーリーが好きだとかいう人なら、文句なしでおすすめできる。

でも、わざわざこんなエントリを書き始めたのは、このゲームがおすすめですって言いたかっただけではない。
このゲーム内でのペインさんのあまりの強さに違和感があり、それがやるほどに面白くて仕方なくなってしまったので、その違和感を伝えてみたかったからである。

ただ繰り返しになるが、それは取り立てて言わなければ気にするほどのものでもないし、私もそれが嫌ではない。この部分も含めてこのゲーム大好きである。

(以下、具体的な内容ではないけど、ネタバレになるかもしれないことを書きます)

このゲームの何がおかしいかっていうと、タイトルにも書いた通り、ペインさんがセガールくらい強いってことである。ちょっと古めのアクション映画が好きならスティーブン・セガールのことはご存知かと思うが、知らない人のために書いておくと、スティーブン・セガール主演の映画の多くは主人公のセガールは常に最強のキャラクターとして位置づけられている。基本的に敵は全部一撃死であり、相手が銃を持っていてセガールが持っていなければ一瞬後には奪って撃ち殺しているし、セガールは相手が軍隊だろうがなんだろうが特に考えなしで平然と乗り込んでいって全員ぶちのめす。
これらはだいたいペインさんにも当てはまる。

それはでも、ゲームの表現上しかたがないのでは、という意見もあるかもしれない。
なるほど、たしかにFPSでは主人公が自分一人であるので、ただの一兵卒のはずの主人公がセガール映画ばりに人を殺すようなこともよくある。しかしそれらとセガール映画が違うのは、主人公の最強性について、その物語世界が認識しているか否かという部分にある。

Call of Dutyの主人公はプレイの仕方によっては信じられないほど強いが、ストーリー部で主人公が最強の殺人兵器みたいな扱いをされることはない。つまりゲーム的には多分できるけど、「お前どうせ一人で行けるから皆殺しにしてこいよ」とか言われることはない。あくまでも主人公は一兵卒であって、いくらなんでも数百人も殺せるわけはないのである(ゲーム的には可能だとしても、そういうことができる特異な人物として描かれているわけではない)。

それに対してセガールは、物語内で敵に、パンイチで北極点に放置しても翌日には家のプールサイドに白いスーツを着込んで現れる男だ、とか言われちゃったりする。つまり物語世界がセガールの強さを織り込み済みで構成されていて、物語内の人もセガールは人間とは思えないほどに強いと感じている。そのあたりがセガール映画はB級映画と呼ばれる所以でもあるし、私がセガール映画が大好きな理由でもある。

それでMax Payne3はというと、設定も物語も重たくて真面目なものなのに、どうも話が後半に行くに連れ世界がペインさんの強さを織り込み済みであるように感じる部分が増えてくる。たとえば南米の武装ギャングの本拠地に刑事崩れのボディガードである主人公と相棒の二人で乗り込んだりする。まあそれは敵の規模についての情報があんまりなかったのだろうとか、どうしたって行くしかなかったからとかいう風に納得することができなくもない。たださらにそのあと特殊部隊の本部ビルに主人公一人が丸腰で入っていくというのはどう考えても、主人公が特殊部隊が束になってもかなわない人間である前提の作戦ではなかろうか。

もっともそのあたりを制作サイドも分かっているのか、ペインさんはモノローグで(ゲーム中の大半でモノローグが流れ続ける)「もっと計画を練るべきだったのかもしれない」とか自分の行き当たりばったり的性格を強調してくるのだけど、特に考えもなく特殊部隊の本部に一人で乗り込んで皆殺しにしてみようと思うって行き当たりばったりじゃなくてペインさん完全にイカれ野郎である。

もちろんこれは物語上、ずっと酔いつぶれて何もかもを失敗した男がついに能動的に暴れに行くという展開上に必要なものである。また前述のとおりやってるとそこはかとないバカゲー感に愉快になってくるので、治す必要など全くないと思うし、もっとやれ、と思う次第である。



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コンシューマ版もけっこう安い。
レビュー見てると敵が硬すぎるとか言う意見が散見されるけど、スローがあることでわかるけどヘッドショット前提のバランスだし(かなり補正されるので楽)できないならイージーでやると良いかもしれない。あとSMGとアサルトライフルが結構攻撃力違うし弾にそう困ることもないので、アサルトでがっちり撃ってもOK。BLACKとかに比べたら紙みたいなもんすよ。