ああいう話が大好きだ。
施川ユウキのオンノジは突然世界にひとりきりになってしまった女の子が、元男子中学生のピンクのフラミンゴと出会って日々を過ごすという話だ。そういうとゆるい日常系のようだが、そこはサナギさんの施川ユウキなので、ひとつひとつの4コマ漫画は鋭い切り口で面白く、それなのに切なさが残るという不思議な読後感になっている。
なんとなくAmazonで見かけてkindleで買ったらとっても良かったので、紙の本でも買い直した。
あとがきで施川ユウキが東日本大震災を挟む時期だったと書いていて、そう思って読むと、震災後の日々と重ねることもできるような気もする。ほとんど何の脈絡もなく自分の日常から放り出されて、そうなればもうかつての日常がどのようであったかを思い出すこともできない。テレビでは延々とACのCMがループで流れていて、ぼんやりとした不安が息を殺して部屋にずっと潜んでいるような気がした。しかし普段気づいていないだけで、生きていくというのは本来そういうことなのだ。と。そんな風に受け取ることも出来る。
私は今日もあの非日常からつながった一日を生きているし、そこを今では日常と呼んでいる。
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秋田書店 (2013-12-20)
売り上げランキング: 2,231
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今年読んだ漫画で一番好きかもしれない。