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2014年1月25日土曜日

角川70%オフおすすめ、というか延々好きな本の話

本を読むと良い。
なんせ楽しい。

私はそこそこに本を読んできた人間ではあるけど、本で賢くなれるとかそういうことには懐疑的だ。
すくなくとも高校時代には漫画を除いたって一日一冊は小説を読んでいたし(漫画はもっと読んでた)、三年ほどマシン室勤務をしていた頃は多ければ一日三冊は本を読んでいたけど、それでどうなれたということもない。私は中の下の高校を下の下の成績で卒業して、だれでも入れる専門学校に入り、だれでもできるようなプログラムを書いて生活している。
しかしながら、賢くなれなくたって、あるいは馬鹿になるとしたって本があると良い。

ブラック企業に勤めていたころ、その後プレッシャーのキツい工場のシステム部門で働いてたころ、辛かった時期が続いたが本があったお陰でなんとかやっていくことが出来た。窓もないマシン室で毎日10時間以上一人でマシンの監視をしているときも、古本屋から100円で買ってきた小説のおかげで退屈することがなかったし、仕事に行きたくなくて次の日になってほしくない夜も、難しすぎて何が書いてあるのかさっぱりな評論集なんかを一文字づつ追うことで時間をゆっくりと感じて落ち着くことが出来た。結局中身は理解できなかったけれど。

そんなわけで、本を読むべきであって、角川が電子書籍を70%オフにするという信じられないことをしている。これだと漫画や文庫本なら150円から200円くらいで買える。大半が漫画だが思わず30冊ほど買ってしまった。これくらいの値段ならもう古本を買うこともないし、これで継続されれば、これこそが我らが夢見ていた本当の電子書籍の適性価格というやつなのではないか、と思う。

というわけで、買った本とか、おすすめの本とか、その関連とかを適当に書きなぐる。
おすすめというよりは本について適当に書きたいことを書くつもりである。
なお、70%オフの本以外にも紹介するし、電子書籍じゃない奴も入るかもしれない。


大塚英志が好きだ。
大塚英志を初めて知ったのがこの漫画で、そのあとにロリコン雑誌の編集長だったとか、宮崎勤の裁判に関わっていたとか、評論を書いているとか知った。ちなみにロリコンって今書くと、すわ児童性愛者! という感じだけど、吾妻ひでおなんかの漫画での使われ方を見ると、当時はたぶんプリキュアだとかみたいなアニメを好む大人を指して使われていたのかなと思う。
で、私はこの人の書くものが好きだ。この人の作品はもちろん、それよりも更に評論とか、素の文章のリズムが大変好きだ。書いていることも繊細で、頑なで、それでいてユーモアがあり、とにかく好きだ。出版社と喧嘩ばっかりしているし、イベントに現れて壇上の人に喧嘩ふっかけたとかそんな話も多くて、付き合うと疲れる人なのだろうなと思うけど、そんなところまで含めて好きだ。というか今思ったが私は人が自分の信念とか真っ直ぐさゆえに人と喧嘩している人が好きなのだと思う。ウラ・アオゾラブンコの文豪同士の喧嘩とか胸が踊る。

サイコ自身は高校時代に一巻を読んだ時には大変衝撃を受けたが、その漫画が今も続いているというあたりで、まあ何をかいわんやという感じもする。私ももう三十を越えた。面白いなと思う辺りくらいまで読んでやめれば良いと思う。このあとに何か衝撃的な結末が、とか、すごい伏線の回収があるはず、とかそういうことを期待してはいけない。

もっともその辺大塚英志は商業作品を商業的に正しくやってんだろうなという気がする。売れる以上作品を終わらせる理由はないのだろう。綺麗に終わっても、商品価値が失われてしまっては商業製品としては役に立たないってことなのかもしれない。

キャラクター小説の作り方 (星海社新書)
大塚 英志
講談社
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物語消費論改 (アスキー新書)
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス (2012-12-24)
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そのあたり、この辺を読むとわかるような気もする。
ちなみにどっちも後半に行くに連れて脱線し始めてどこかに行ってしまうのは、漫画なんかと同じ。というか大塚英志の著書の多くがそうであるかもしれない。そのへんの脱線してまとまらなくなる辺りも私の好きなタイプの作者であるかもしれない。フィリップ・K・ディックとか。私自身がそういうタイプだからかも。

今回のセールだと、黒鷺死体宅配便ととでんかを買った。

黒鷺死体宅配便(1) (角川コミックス・エース)
KADOKAWA / 角川書店 (2012-09-01)

とでんか(1) (カドカワデジタルコミックス)
KADOKAWA / 角川書店 (2012-09-01)

黒鷺死体宅配便は上のキャラクター小説の書き方で例として上がったりしてて名前だけ知っていた。どっちもオカルトを話の軸に据えて割合似た印象の作品だけど、とでんかの方がよりウンチクが多く現実と架空の境界線が曖昧だったりしてて好みだ。
これをまとめて買って、一巻ずつ交互に読んでると、どっちにも笹山が出てたりして、途中でどっちがどっちのエピソードなのかよくわからなくなって混乱した。とりあえず現状は普通に面白いけど、まあ終わりとかは無いんだろうなという感じ。


逆に見事に終わると言ったら、とにかく矢上裕である。
エルフを狩る者達以降は打ち切りなのか、自分で終わらせてるのかは分からないが、大半が3~5巻くらいで終わっているがそのどれもが狙ったように綺麗に終わっている。私はどれも好きだ。
アゲハを追うモノたちは今回セールだったから買ったが、今までの矢上裕作品のキャラクターに似た人たちがパラレルワールドな感じで出てきていてなかなか楽しい。もっとも初めて矢上裕の作品を読むなら、やはりエルフを狩る者達がいいかもしれない。ただ巻数が多いのでそれが気になる人には、住めば都のコスモス荘をおすすめしたい。

住めば都のコスモス荘 1 (電撃コミックス)
矢上 裕 阿智 太郎
角川(メディアワークス)

原作付きではあるが話しはほとんどオリジナルだし大変矢上裕っぽい。
最終回あたりとか本当に大好きな漫画だし、中古でも安いのでおすすめ。

見仏記 (角川文庫)
見仏記 (角川文庫)
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いとうせいこうとみうらじゅんのイメージってどんなもんか。
多分なんかテレビに出てるメガネと、なんかテレビに出てるロン毛みたいな感じではないか。
なんで出ているのか分からないが、なんか文化人とかそういう奴なんでしょ? みたいな。
でもこの人たちは本当に面白い人たちで、大変すごい人たちなのだ。みうらじゅんはマイブームとかゆるキャラとか現在も普通に使われる言葉を作り出した人だし、いとうせいこうは日本語ラップの開祖とでも言うべき人だ。見仏記はその面白い人二人が一緒に仏像を見に行く旅行記だ。

ちなみにこの二人がやってるザ・スライドショーというイベントもすごく面白い。

ザ・スライドショー コンプリートボックス [DVD]
ジェネオン エンタテインメント (2002-10-11)
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またみうらじゅんのおしゃべりはYoutubeなんかでも聞ける。


いとうせいこうはなんといってもファミコン文学の最高峰(他を知らないけど)のノーライフキングがすごい。

ノーライフキング (河出文庫)
河出書房新社 (2013-03-27)
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子どもたちの中でファミコンの世界と現実の世界が交わっていくというお話。
でも決してファンタジーでありえないことが起きるということではなく、ファミコンを媒介として子供の間でだけ存在する共同幻想が生まれていくということ。私は子供の頃からゲームが大好きで、どうやったら自分はゲームの世界に入れるのだろうと真剣に思ったことが何度もあるので、この世界がゲームに侵食されていくイメージには胸がドキドキする。間違いなく私の人生のベスト小説のうちのひとつ。短くて読みやすい。

新興宗教オモイデ教 (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店 (2013-07-17)
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人生ベスト小説と言えば、新興宗教オモイデ教も入れたい。70%なので持ってるけど買った。
大槻ケンヂは最近ではアニメの主題歌なんかを歌っていることも多いけど、文筆業でもかなり有名な人で、小説やエッセイはどれも面白い。特に新興宗教オモイデ教は処女作にして、中二病文学というか、童貞文学というか、そういうものの最高峰にある。

縫製人間ヌイグルマー (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店 (2013-09-13)
売り上げランキング: 406

あとこれはまだ読んでないんだけど、井口昇監督、しょこたん主演で映画化されるそう。
あとしょこたんの理想の男性(ゲーム強い、猫好き、傷がある、キックがきれい、ヌンチャクが振れる)って、大槻ケンヂがかなりクリアしている気がするんですがどうでしょう。ライブ中にヌンチャク振る人ですし、傷のメイクしてるし。

人として軸がブレている (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店 (2013-09-09)
売り上げランキング: 321

これも買ったけどまだ読んでない。
エッセイはとにかく山ほど出てて山ほど読んでる。エッセイ好きな人なら面白いと思う。
エッセイは昭和軽薄体ってつまり、漫画誌とかの巻末の投稿コーナーの編集者のコメントみたいな(今でもそうか知らんけど)非常に砕けた調子で書かれている。「こーゆー絵を描けるなら、練習すればもっと上手くなれちゃうぞ!」みたいな。違うかもしれん。
今回の70%オフでもいっぱい出てるけどたくさんあるので、一冊だけおすすめするとしたら、今までのエッセイの面白いエピソードとかの総覧みたいになってるリンダリンダラバーソールが一番おすすめ。これを読むといかにして大槻ケンヂがロックミュージシャンになったかとか、バンドブームの時代(X JAPANとかが出てきた時代)はどういうものかわかる。

リンダリンダラバーソール (新潮文庫)
大槻 ケンヂ
新潮社
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もちろん大槻ケンヂの他のエッセイと同じくかなり脚色してある感じはする。
本人も言ってるけど、面白いと思ったら話を盛っちゃう人である。そのせいでAmazonのどれだかのエッセイだったかのコメントで「誰々と出会うエピソードが読むたびに派手になっていってる」とか書いてあって笑った(山ほどエッセイが出てるので同じエピソードは何度か語られているのです)。

というあたりでいつもどおり凄い長くなったのでおしまい。
本読もうぜ!