大宰相は戦後の首相の姿を描いた戸川猪佐武の原作を元に、ゴルゴ13のさいとう・たかをが劇画にしたもので、1巻目は吉田茂の話から始まっていく。原作は小説と銘打たれているが、実際の歴史の流れを外すわけではなく、ごくノンフィクションに近いものらしい。
その真偽や、現実のことだからこそ評価なども実際には様々あるだろうけど、それはさておいても、戦後のめちゃめちゃになっている状況で、なんとか国を建て直そうとしてオッサンらが頑張る姿というのは読んでいて興奮する。GHQが明日日本国民に通告を出そうとしているが内容に承服できないので今から行ってなんとか止めてこいだとか、モーニング持って東京まで来いって言われて行ったらその日のうちに大臣にさせられたりとか、とんでもない速度で時代が流れていく。
もちろん私達はそのあと日本が高度経済成長にさしかかり、苦しかった時代が終わり、豊かな日本になることを知っている。それはさながら「めでたし、めでたし」になることを知っているおとぎ話のようなものだ。面白くないわけがない。
ただエンタメとしてだけではなくて、いったい今まで続くような法律や体制がどのように形作られたかだとか、現状でもそのまま地盤を継いだ有力者の親や祖父がどのような人であったかということは、興味深いことが多い。勉強として扱うにはこの本だけでは足りないだろうが、全体の流れとして抑えておくには漫画で読みやすいし、本当に勉強するときが来たら後学のためになるかもしれない。
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