もちろん、そんな日々はいつまでも続くことはなく、一時は共に過ごした仲間も、去り、裏切り、殺されていく。事態は悪化の一途をたどり、何もかもが思い通りにいかない。世界そのものが悪意を持っているみたいに、大事だったものはなくなり、楽しかった日々は記憶の中に残るだけだ。好きだった人たちが戻ってくることはもう無いし、愛した場所からも去っていかなければならない。何かもが最初から無かったように、どこかへ行ってしまった。
それでも残るものがある。それが信念である。
というあたりがこのゲームのテーマなのだと思う。
生きていくなら、人は自分の過去と向き合わなければならない。たとえば何もかもが手遅れだったとしても、自分の過ちが消えるわけではないから。そうして、人生が自分の思い通りにはならないことを受け入れたときに、新たな船出を始めることができる。
ラストシーンはこのゲームでもっともたくさん見てきたであろう航海シーンとほとんど変わらないのに、ひたすらに胸に迫る。エドワード・ケンウェイは自分の過ちを認め、自由や放埒を求めるのではない、もっとまともで確固としたものへと船出していく。その先にはたくさんの困難が待っているのだろうけど、それでも彼ならきっと乗り越えていくのだろう。
そう思って、ちょっとだけ泣いた。
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ユービーアイソフト (2015-06-25)
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