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2015年7月20日月曜日

自由と放埒の日々と、その別れ/アサシンクリード4 ブラックフラッグ

商船から積み荷を奪い、追いかけてきた戦艦を吹き飛ばし、乗り込んだ先の将官をバッサバッサと切り倒す。丘に上がれば酒を喰らい、女を抱いて、悪巧みの日々。そこは新世界で、ヨーロッパの支配力も完全には及んでいない。残してきた過去の傷や、いつかこんな日々が終わるという予感はあっても、海も空も青く広くどこまでも続いていて、それが続くかぎりどこへでも行けるみたいに船は走っていく。まるで自分たちにはなにもかも許されているかのように。

もちろん、そんな日々はいつまでも続くことはなく、一時は共に過ごした仲間も、去り、裏切り、殺されていく。事態は悪化の一途をたどり、何もかもが思い通りにいかない。世界そのものが悪意を持っているみたいに、大事だったものはなくなり、楽しかった日々は記憶の中に残るだけだ。好きだった人たちが戻ってくることはもう無いし、愛した場所からも去っていかなければならない。何かもが最初から無かったように、どこかへ行ってしまった。

それでも残るものがある。それが信念である。

というあたりがこのゲームのテーマなのだと思う。
生きていくなら、人は自分の過去と向き合わなければならない。たとえば何もかもが手遅れだったとしても、自分の過ちが消えるわけではないから。そうして、人生が自分の思い通りにはならないことを受け入れたときに、新たな船出を始めることができる。

ラストシーンはこのゲームでもっともたくさん見てきたであろう航海シーンとほとんど変わらないのに、ひたすらに胸に迫る。エドワード・ケンウェイは自分の過ちを認め、自由や放埒を求めるのではない、もっとまともで確固としたものへと船出していく。その先にはたくさんの困難が待っているのだろうけど、それでも彼ならきっと乗り越えていくのだろう。
そう思って、ちょっとだけ泣いた。